読んだらお酒が飲みたくなるかも?天才作家「中島らも」のおすすめ小説

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中島らもさんの小説を読んでみたいけど、どれだおすすめかわからない…そんなあなたに、かれこれ20年以上は中島らもさんの本を読み続けている僕がおすすめ小説を紹介します。
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今夜、すべてのバーで

もう何度読んだかわからないくらい読んでいる名作です。

薄紫の香腺液の結晶を、澄んだ水に落とす。甘酸っぱく、すがすがしい香りがひろがり、それを一口ふくむと、口の中で冷たい玉がはじけるような…。アルコールにとりつかれた男・小島容が往き来する、幻覚の世界と妙に覚めた日常そして周囲の個性的な人々を描いた傑作長篇小説。吉川英治文学新人賞受賞作。

アルコールに取り憑かれてしまった男「小島容」は、中島らもさんご本人をモデルにして書かれています。

若い時からものすごい量のお酒を飲んでいた小島容は、タイミングも年齢も全然違う相手から「お前は35歳で死ぬ」と予言めいた言葉を送られます。

ウイスキーをストレートで飲みながら、アルコール依存症の資料を漁るという倒錯した日々の中、ついに体は限界を迎えます。

ようやくたどり着いた病院でふと気づくと、自分は今まさに予言された「35歳」なのでした。

物語は肝臓を壊してふらふらの状態となった小島容が診察を受けるシーンから始まります。

即入院となったものの、ベッドを空けるまで1時間ほどの待ち時間が出来てしまいました。

病院前の公園で「最後の一杯」とばかりにワンカップの福娘を2本飲み干すシーン。

お酒のせいでこんな事になってしまった、恨み言の一つでも…と思うものの、

そうだな、女の悪口はやめよう。長い間、世話にもなったし、いい夢も見させてくれたんだ

と言って自分の「卑怯」を恥じ、福娘に謝りつつ、ワンカップに何度もキスをするのでした。

個人的にはこのシーンがすごく印象に残っています。

入院した先の強烈な担当医師や個性的な同室の面々、そして小島容の大親友だったがすでに事故死してしまったある男の妹との関係が徐々に描かれていきます。

時に激しく時に優しく、物語全体があたたかな愛情に包まれたような作品です。

お酒好きな方なら、「うんうん」と頷きながら読んでしまうかもしれませんね。

 

永遠も半ばを過ぎて

こちらも一体何度読み返したかわからないくらいに読んだ作品です。

「えっ。ユーレイが小説を書いたの!?」巨大タニシの母貝1個1億円の商談をしくじった三流詐欺師の俺にも、運がめぐってきたようだ。謎の原稿を出版社に持ち込んだところ、文壇の大事件に発展し…。うふふ。ここは腕の見せどころ。輪舞するコメディ。あふれ出る言霊。待ってましたの痛快らもワールド。

主人公は写植屋の波多野。

写植というのは「写真植字」の事で、さまざまな大きさ・種類の文字を依頼された通りに機械で作りだすお仕事です。

主に出版社や印刷屋さんの下請けが多かったのですが、パソコンが普及し格安プリントが広まってからはほぼ需要が無くなってしまいました。

家で一人、黙々と仕事を続ける波多野の元に、突然高校時代の同級生を名乗る男が転がり込んでくるところから物語は始まります。

勝手に居ついてしまった同級生(相川)の正体は三流の詐欺師。

自由奔放な相川に色々と振り回されて生活を乱れていく波多野ですが、陽気な相川の性格に翻弄され、なかなか強く出ることができません。

とある夜、相川から渡された睡眠薬を飲んだ波多野。すると翌朝、写植機の前には叙事詩のような作品が残されていました。

書いた記憶などまったくない波多野。この現象を幽霊が書いた本というネタにして一発狙おうと企む相川。

さっそく持ち込んだ出版社では女性編集者の宇井美咲が登場しますが、すぐに二人のウソに気付きます。

しかしこの宇井美咲というキャラクターが骨太で豪気な女性で、秘密にする代わりに自分もこの詐欺話に加えろと言い出したからもう大変…

「永遠も半ばを過ぎて」は、佐藤浩市・豊川悦治・鈴木保奈美という超有名なメンツで映画化もされています。

ガダラの豚

中島らもさんの小説の中でも、もしかすると一番有名かもしれない長編小説です。

内容(「BOOK」データベースより)
アフリカにおける呪術医の研究でみごとな業績を示す民族学学者・大生部多一郎はテレビの人気タレント教授。彼の著書「呪術パワー・念で殺す」は超能力ブームにのってベストセラーになった。8年前に調査地の東アフリカで長女の志織が気球から落ちて死んで以来、大生部はアル中に。妻の逸美は神経を病み、奇跡が売りの新興宗教にのめり込む。大生部は奇術師のミラクルと共に逸美の奪還を企てるが…。超能力・占い・宗教。現代の闇を抉る物語。まじりけなしの大エンターテイメント。日本推理作家協会賞受賞作。

文庫本版は3巻セットになっており、こんな長い小説読めるかなぁ…と心配したのですが

まったくそんな心配する事なかったです。

物語自体は静かな始まり方ですが、とにかく面白い。

1巻目では、新興宗教にはまった妻を助けるために教祖が行っていたインチキの手品を暴こうと奮闘。

2巻目では、テレビの取材番組で家族や仲間とアフリカへ…

目指す先は、大生部が8年前にフィールドワークをしていた泣く子も黙る呪術師集団の村「クミナタトゥ」

アフリカでの旅を大いに楽しむ一行でしたが、クミナタトゥに着くと、待っていたのはクミナタトゥの面々よりもさらにヤバい力を持つ呪術師集団でした。

3巻目では、なんとか日本へ戻ってこれた一行にアフリカから最強の呪術師たちが追ってきます。

大都会の真ん中で呪術師・超能力者・奇術師・高僧たちのバトルが始まります。

1巻目の落ち着いた序盤から、2巻目~3巻目と一気にジェットコースターで振り回されるようなスピード感を味わえる壮大なスケールのエンターテイメント超大作です。

 

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